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2021年5月号 (第185号)

技術の玉手箱 /  センタリングは本当に必要?

今回の玉手箱は、穴加工で耳にする「センタリング」をテーマにお届けしたいと思います。皆さんの職場では「センタリング」とは言わずに、「もみつけ」とか「センターもみ」など別の表現をされているかもしれませんね。

センタリングはドリルで穴加工をする前に、位置精度や穴精度を向上させる目的で行います。また、穴の面取りを兼ねて行う場合もあります。オーエスジーのセンタリング用工具は「リーディングドリル」の名称で皆様にご愛用いただいておりまして、隠れた(?)超ロングセラー製品となっています。

穴の位置や精度を向上させるためですから、センタリングをしてからドリル加工するのが当たり前になっている方もいらっしゃるのではないかと思います。しかし、まれにお客様から「センタリングって本当に必要なの?」と聞かれることがあります。

センタリングが必要かどうかは求められる穴位置精度やワークの形状によります。具体的には以下のような場合にセンタリングが必要と考えます。
・穴位置精度が±0.05mm以下
・溝長の長いドリルを使用
・加工面が傾斜面、曲面

反対に言えば、穴位置精度にこだわらなかったり、平面加工の場合は、センタリングを省くことで加工時間を短縮することができます。例えば図面上、穴位置精度の指示が±0.05mmより広く、加工面が平面のような場合は、オーエスジーのスタブ形ドリルであれば剛性とシンニングによる高い食付き性によりセンタリングなしで加工することが可能です。もちろん、穴位置精度を優先する場合は±0.05mm以下にかかわらず、センタリングを行った方が安定して加工できます。

センタリングを行うことで精度の高い穴加工が可能ですが、センタリングの「角度」にもお気を付けいただきたいと思います。センタリングをしたのに「穴精度がうまく出ない」「ドリルの寿命が安定しない」なんて経験はないでしょうか。それはもしかするとセンタリングの角度が影響しているかもしれません。一般的に面取りを兼ねて90°のセンタリング角度が多いとは思いますが、この90°が原因となるケースが考えられます。

ドリルの先端角は120°~140°と鈍角ですので、下の図のようにドリルが先端から食付かずに肩の部分から当たり始めることで加工が不安定になってしまいます。

対策として、ドリルの先端角と同じ、もしくは先端角より大きな角度でセンタリングをする。また、90°で行う場合は、センタリング径を小さくすることがあげられます。

普段、何気なくドリル加工前に行っているセンタリングかもしれませんが、本当に必要かどうか、効果的なセンタリングになっているか見直してみるのも良いかもしれませんね。

技術の玉手箱はWEBセミナー「ランチタイムセミナー」でもご覧いただけます。今回の内容は5月26日(水)12:20~12:35にお届けします。無料でご参加できますので是非お申込みいただければと思います。お申込みはOSG WEB SHOWROOMからお願いします。

謹啓、薫風の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。今月も玉手箱を踏まえ、穴に関するイチオシを紹介させて頂きたく存じます。と、その前に少々昔話を……

時は今から数十年前、まだ小爺が若かりし頃のGW明けの火曜日10時。お客様からの電話が鳴りました。
K爺「はい、お電話代わりました。あ、〇〇さん!お休みはいかがでした?」
お客様「お休みはどう?はぁ?あなた、今どこ?」
K爺「え?事務所ですけど…」(って、事務所に電話してきたよね?と心の中で独り言ちる私)
お客様「あのねぇ、休み前に、今日10時に来てもらう約束したよね!!!」
K爺「!」
顔面蒼白、嫌な汗をかきかき平謝りした後、約束の時間を小1時間過ぎて訪問した私でございます。遠い昔、休みボケで仕事に穴をあけた、穴があったら入りたい、いや、地球の奥底まであけた深い穴に捨て去りたい、そんな恥ずかしい記憶の夢をGW中に見まして(^^;以上、「穴」と言いましてもいろいろな穴があるということを再確認しまして本題へ(笑)

穴……小さな穴、大きな穴、浅い穴、深い穴、穴の底の角度が指定される穴、穴の入り口の面の角度が指定される穴などなど、穴を加工する工具はたくさんございます。そこで、今月のイチオシでは、OSGの穴加工用ソリッド工具の全体像を確認したいと存じます。まずは、穴のサイズと深さから確認してまいりましょう。

OSGハイスドリル 直径と対応穴深さ


【OSGハイスドリル 直径と対応穴深さグラフ】

【OSGハイスドリル 直径と対応穴深さグラフ】

上記は、OSGのハイスドリルのサイズラインアップをグラフ化したものでございます。全22シリーズ、909の直径サイズで、最小φ0.5から最大φ50、一番深い穴では30D(ドリル直径の30倍)まで加工できるラインナップを有しております。

OSG超硬ドリル 直径と対応穴深さ

続いて超硬ドリルでございます。全44シリーズ、463の直径サイズで、最小φ0.02から最大φ20までございます。加工可能な穴深さとしては、最大で50D(ドリル直径の50倍)まで加工できるラインナップとなってございます。

【OSG超硬ドリル 直径と対応穴深さグラフ】

【OSG超硬ドリル 直径と対応穴深さグラフ】

OSG面取り&座ぐり工具 先端角と直径ラインナップ

続いて、フラットドリルやリーディングドリル等のラインナップでございます。

【面取り&座ぐり工具 角度毎直径レンジグラフ】

【面取り&座ぐり工具 角度毎直径レンジグラフ】

ハイス、超硬ともに先端角60°、90°、120°、180°のラインナップの他に、※ハイスは130°、超硬は140°を有しております。
また直径は、ハイスでは最小φ3からφ25(60°はφ12まで、180°はφ20まで)まで、超硬は120°の最小φ0.05から90°の最大φ25までと、ハイスに比べて小径側に寄ったラインナップとなっていることがお分かり頂けるかと存じます。
ところで、「※130°はハイスのみ、140°は超硬のみ」となっている、この違いはどうしてなのでしょう?お分かりになりますか? 賢明な読者の方ならもうお分かりですよね?

ハイスと超硬合わせて、φ0.02~φ50まで、最長50Dまで対応可能なドリルラインナップと、先端角60°、90°、120°、130°、140°、180°に最小φ0.05から最大φ25までの面取りおよびフラットドリル全81シリーズのラインナップによるOSG標準ドリルシリーズが、皆さまのお仕事の生産性向上の一助となれば幸いでございます。

謹言


英語ワンポイント /  Ballpark figure

Ballpark figure
「概算」「おおよその見積もり」

Ballpark=「野球場」という意味より、球場内ならどこにボールが飛んでもあまり変わらない。また、球場内の観客数も収容人数を上回る事が無いことから、球場内の人数も概算で分かるというもの。

新入社員が配属され、色々と動きのある部署があるようです。

マサコちゃん:
さらさん、聞きました?
隣の部署、新入社員が入ったことで机や椅子など一新して、フロアもリノベーションするんですって!

さらちゃん:
えーーーっ!そうなの?
確かに人も増えたからね。良いわねぇ、綺麗になるのって。羨まし~~~~~いっ!
ここも新しくならないかしら?

マサコちゃん:
けんさんに頼んでみますか!?

さらちゃん:
いいわね(^^)じゃ、色々と選んでみるわ!

えーっと、机はこれで、椅子は可愛いこの色で……
うん、ここにはオシャレなソファを置いて、
うんうん……あっ!せっかくだからこれに、それに、あ!あれも加えてぇ……

「Can you give me a ballpark figure on how much all this will cost?」
(全部でいくらくらいかかるか見積もり出しておいてもらえる?)

マサコちゃんお願いね。

― 3日後 ―

マサコちゃん:
さらさん、この前の見積もり出ましたよ!
さっそくけんさんに見せてお願いしましょう。

さらちゃん:
けんさ~ん、私たちの部署も少しイメージチェンジしませんかぁ?
私とマサコちゃんで素敵なレイアウトを考えたんです(^^)v
はい!こちらが見積もり。どうぞ!

けんさん:
どれどれ?
ん!
はぁ?
な、何?この値段……
桁が一つ違うんじゃ?

さらちゃん:
え?
そ、そうかしら?相場じゃないかしら?

けんさん:
そ、相場ぁ?
オフィスに、この色のイスとそのソファは無いでしょ?はい、却下!!!

さらちゃん:
えーっ!!!
マサコちゃん!やっぱり私たちのセンスに、けんさんはついてこられないわ(^^;

理想と現実のギャップが大きすぎて……
いや、けんさんのセンスと自分たちのセンスの間にある谷が想像以上に深いことを再確認し、しばらくは今の環境で働く事必至なメルマガ編集部なのでした。

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